ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

アビリーンのパラドックス

アビリーンのパラドックス(Abilene paradox)とは、ある集団がある行動をするのに際し、その構成員の実際の嗜好とは異なる決定をする状況をあらわすパラドックスである。


暑い暑い夏の日、場所はテキサス州コールマンという田舎町。ある老夫婦とその娘夫婦の四人が午後のひと時を過ごしていました。

外は太陽がジリジリと照りつけ砂も舞うこの季節、自宅のテラスでゆっくりと冷たい飲み物でも飲みながらトランプでもするのが一番の過ごし方だと、四人の誰もが知っていました。

ところが老人は「折角の娘夫婦の訪問だし、取りあえず言うだけ言ってみよう。誰も賛成するまい。」と「どうだい、これからアビリーンまでドライブしてカフェで夕食を取ると言うのは?」と三人に尋ねました。
コールマンからアビリーンまでは53マイル(85キロ)もある上、あいにく老人の車はエアコンが効きません。誰も賛成する理由がない提案のはずでした。

ところが、現実に起こったことは.....


娘は「あら、いいわね」と答えた。娘婿は「いいですね。お母さんも賛成ですか」と言った。母は「もちろんよ」と答えた。
道中は暑く、長かった。食堂に着いてみると、料理はまずかった。4時間後に家に帰り着いた時には、全員が疲れ切っていた。

母親は「本当は家にいたかったけれど、みんなが熱心に言うから一緒にいったのよ」と本音を言った。

娘婿も娘も、行きたくなかったが、みんなのために行ったという旨のことを話した。

そして父親は「ちょっと言ってみただけだったんだ、みんなが退屈そうだったから」と言った。

1人1人は家にいる方がいいと思っていたのに、誰もそれを言い出せず、楽しい午後を台無しにしてしまったのである。


集団内のコミュニケーションが機能しない状況下、個々の構成員が「自分の嗜好は集団のそれとは異なっている」と思い込み、集団的な決定に対して異を唱えないために、集団は誤った結論を導きだしてしまう。アビリーンのパラドックスは「事なかれ主義」(rocking the boat)、集団思考の一例としてしばしば言及される。