調査会社ギャブカル・リサーチのチーフエコノミスト、アナトール・カレツキー氏によると、1950年以降に16回あった米国の弱気相場のうち、82年の1回を除く15回で株価は一番底の1~3カ月後にさらに深い二番底をつけた。
この経験則に従って、投資家の多くは二番底の到来をじっと待っているフシがある。個人投資家にも広く知られている「二番底は黙って買え」という相場格言に従い、多くの投資家は底値で買い出動するタイミングをうかがっている。
投資家が待つ二番底が来ないのはなぜか。「ひと言でいえば、今回のコロナショックでは景気の底がいきなりみえてしまったからだ」
弱気派は、待っても落ちてこない株価に焦り始める頃合いだ。バンク・オブ・アメリカの調査によると、機関投資家の保有現金比率は4月に5.9%、5月に5.7%と01年の米同時多発テロ以降では最も高い水準だ。弱気派があぶり出されるように株に資金を向け始めれば、二番底はさらに遠のくことになる。