ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

行動経済学

行動経済学

行動経済学は、従来の経済学では取り込んでいなかった感情、直感、記憶など心の働きの影響を考慮した、経済の実態により則した経済学を構築しようとするものである。

この行動経済学に対しては、2002年のノーベル経済学賞として「不確実性下における人間の判断や意思決定に関して心理学の研究成果を経済学の考え方に統合した」ことに対して、プリンストン大学の心理学者カーネマン・Dとジョージメーソン大学のバーノン・スミス教授に与えられた。そこでは行動経済学(behavioral economics)という言葉が初めて使われた。これは経済心理学(psychology and economics)とも言われるように、心理学と経済学とを結びつけた学問である。

この行動経済学は5年前に始めて世に出てきた言葉で、耳慣れない言葉かもしれないが、大阪大学行動経済学研究センターが設けられているように、学界でも精力的に研究が進められている経済学である。

この行動経済学は、人がどのような意思でそのような行動をとるのか、その結果何が生じるかといったことに経済学の立場から取り組むものである。これについて行動経済学ではプロスペクト理論が提唱されている。プロスペクトとは見込みとか予期とかいった意味であるが、行動経済学プロスペクト理論はそのような意味ではなく、価値理論といった内容である。


プロスペクト理論
 価値関数 確率加重関数



価値関数

1参照点依存性
価値は参照点からの変化、またはそれとの比較で測られ、絶対的な水準が価値を決定するものではない。

2感応度逓減性
利得も損失も額が大きくなるにつれて、価値関数の傾きはだんだん緩やかになるという逓減性がある。

このことを証明するため、次のような「くじ」があった場合、(イ)と(ロ)でどちらを選ぶか、あるいは(ハ)と(ニ)でどちらを選ぶかの実験がある。
     
 (イ)25%の確率で6000円が得られ、残りはハズレで何も得られない。
 (ロ)25%の確率で4000円が得られ、25%の確率で2000円が得られ、
    残りはハズレで何も得られない。
    
   実験結果は、(イ)が18%、(ロ)が72%で(ロ)が多かった。
  (ハ)25%の確率で6000円損をし、残りはハズレで何も損をしない。
  (ニ)25%の確率で4000円損をし、25%の確率で2000円損をし、
     残りはハズレで何も損をしない。
     
  実験結果は、(ハ)が70%、(ニ)が30%で(ハ)が多かった。

これらは、どれかに当たって得や損をする確率はいずれも25%で同じであり、かつトータルで見れば得や損をする金額も同じであるが、得をする(イ)(ロ)の「くじ」では、4000円か2000円かいずれかの得をする「くじ」が金額は少なくても当たる確率が高く、多くの人に選ばれた。これはその方が6000円得をする「くじ」より価値が高いと判断されたことを示している。即ち、それぞれ原点からの直線を考えると傾きが大きく価値が高いと感じられたのである。

(ハ)(ニ)の「くじ」では6000円損をする「くじ」の方が損失をこうむる確率が低く、4000円か2000円損をする「くじ」より価値が高いと判断されたことを示している。即ち、傾きが小さく価値が低いと感じられたのである。

しかし(イ)(ロ)の場合の少数意見の18%に比べて(ハ)と(ニ)の少数意見が30%と多いのは、損失するとしても大きく損をしたくないと考える人が増えているということであろう。
即ち、得も損も額が高くなるほど、価値の評価の絶対値は小さくなると判断されたということである。


3損失回避性
損失は同額の利得より強く評価される。

・・・反転効果 得をするときと、損をするときの行動が反転
得をするときは利益を確定しようとし、損をするときは確定するのを避ける




関連ワード
フレーミング効果
   属性フレーミング
     表現を変えるだけで好感度が高まる

                 20円引き→2割引!
   ゴールフレーミング
     メッセージの焦点をネガティブにすることで
     ある目的のアクションへのインセンティブが強まる

     この治療を受けないと、がんになる可能性が高くなる

   リスク選択フレーミング
     何かを得るときは、不確実性を回避
     何かを失うときは、不確実性を選択

     ◎確実に200台注文を取る
      50%の確率で400台の注文を取る

 メンタルアカウンティング(心理会計)
    経常所得アカウント
    資産アカウント
    将来所得アカウント


保有効果

「使ってダメなら1週間以内で返品して下さい。お値段は無料です。」
めったに返品されないことを通販業者は知っている。
(まだ、買ってもいないのに保有効果が働くから。)
「自分のもの」になっただけで、人は手放すときには「値段・価値」をつける(お金、モノに限らない。)


現状維持バイアス
経済的価値は関係なく、大きな不安定要因がない限り、現状を維持しようと考えること


コンコルドの誤謬・サンクコストの過大視
投資などの継続が損失の継続になるとわかっているにもかかわらず、それまでを惜しみ、やめられない状態

コンコルドという音速で飛ぶ飛行機の運航を惰性的に続けて、
とんでもない大赤字を抱えてしまったこと。

損益分岐点を(経費を超えて利益が出るだろうということ見込み)いずれ超えるだろうという、
幻とも言えるような見込みに期待をかけていたことによる、最大の失敗。

「音速で飛ぶことのできる飛行機というのは、魅力的だ。
 ここでコンコルドを飛ばすのをやめるなんてだめだ!!
 ここまでかけてコンコルドをフライトさせる準備も投資もしたのだから、
 絶対に儲かる!!何が何でも就航を続けてやる!!」

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時間割引 双曲型割引(目の前のお金・価値が欲しい!)
  
   選考の逆転



ヒューリスティック
決定をしたり、判断をしたりする時に、アルゴリズム的に厳密な論理でつめていく方法ではなく、直感ですばやく簡便に会頭に到達する方法。手がかりの無い状況では特にこのような方法をすることがある。

完全合理を前提とした経済学の誤りを指摘し、人の非合理的な行動や偏りを一定の傾向があるとし、予測可能なものにしようとする考え方の前提

代表性 典型性
ヒューリスティックによるバイアスの第一要因。ステレオタイプを判断基準にしたり、答えに転用してしまうこと。

 代表性ヒューリスティックの派生のバイアス
  連言錯誤
 具体性イメージが強くなると、確率の感覚が狂う。
 1か月以内に入荷する予定ですが、もしかしたら、
 明日入荷するかもしれません。

利用可能(想起容易性、検索容易性、具体性)
取り出しやすい記憶情報




アンカリング


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少数の法則
試行回数が少ないにも関わらず、平均値へ回帰すると考え、平均値を見誤ること。少数の法則によるギャンブラーの誤謬


平均値回帰
平均値があり、平均値へ収束するがその途中過程の部分を極端な例と考えてしまうこと。


後知恵
何かが起こってから、後でその原因に言及すること。事前に予測できなかったことを必然として捉えて判断する心理的バイアス。偶然に起こったことに意味を与えてしまうこと。多くは後知恵のあと真偽の追求はされず、思考停止する。


コントロール幻想
自分が働きかけることで、結果に影響を与えることができると思う錯覚


データの一貫性幻想
データの一貫性と共に、観察値の極端な値は暗黙に予測
に使われ、予測に自信をもたらす・・・・有効性の錯覚
人間は情報の一貫性を判断の確信性の手がかりとす
る・・・・巧みな詐欺師はこれを利用