ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

「習慣で買う」のつくり方


人間の行動の95%を支配しているのは無意識である。

 ・判断脳(executive mind):脳が知覚したものを認知し、実行する意識
 ・習慣脳(habitual mind) :脳が無意識に処理する意識

■なぜ、新商品が失敗するか
大量に広告を投下しても、習慣脳で生理的な変化を起こすことができないと、失敗する。
商品がヒットするかどうかは、消費者の習慣脳にある記憶と関連づけられるかどうかにかかっている。


■なぜ、顧客を失うのか 
「満足」してもリピーターになるのは、8%

市場に一番のりしても、最高の商品を作っても、最安値で提供しても成功するとは限らない。
成功するためには、消費者から無意識に習慣として選ばれるものにならなければならない。

■顧客を維持するためのポイント

 1企業は、顧客の行動に注視すること。

  習慣は行動の繰り返しから生まれ、時間をかけて確立されていく。

 2習慣脳と判断脳では、鍛え方が異なる。

  習慣脳:同じ結果が生じる行動を繰り返す、判断脳:理論や意見を通じて磨く

 3顧客が判断脳で考えていると、他の商品に乗り換えられやすい。

 4競合他社から顧客を奪うには、その顧客の習慣を壊さねばならない。


■商品設計

分類重視と目的重視の両方を商品にいかす。

そのためには、消費者の判断脳に向けて設計する部分と、習慣脳に向けて設計する部分とを理解する必要がある。

 ・分類重視:関連するものどうしをまとめる(金物屋は釘を釘コーナーに置く) → 使い勝手は良くならない

 ・目的重視:使い勝手を第一に考える(大工は釘をカナヅチの横に置く)

 

■そもそも、習慣とは何か

 ・単純でも複雑でも、人の行動は繰り返すことで、時間をかけて少しずつ習慣となっていく。

 ・ひとたび習慣になると、何らかの合図に反応して、意識せずに体が動く。

  合図には、外から生じるものと、体内から生じるものがある。

 ・休止することはあっても消えてなくなりはしない。

 ・習慣的な行動に、顕在意識はほとんど関与しない。

  行動を起こした後で、行動を自覚する。

 

■消費者が買い物をするときのルール

 ・オメガルール:消費者に習慣として身についているルール

 ・デルタモーメント(新商品を試したくなるとき):

           いつもとは違うものを選ぼうとするときに現れる。

           この瞬間、消費者は新しいものの影響を受けやすい。

勝ち組企業はデルタモーメントが発生しないように、それ以外の企業は、それが発生しないと消費者に習慣として根付いている購

買行動に変化は起こせない。

   

   デルタモーメントの発生区分

     お買い得品を求めるとき(バーゲンモード)

     誰かに聞いた(クチコミモード)

     新発売商品に反応する(バリエーションモード)

 

■感情は生存のための反応である。
消費者にメッセージを届けたいなら、何が消費者の感情に訴えるのかを理解できていなければ、関心を引く存在になれない。
「自分にとって意味がある」と感じさせることが大切である。


記憶を思い出すときにも、感情が重要な役割を担う。
イメージでもストーリーでも、心を動かされたものの方が、そうでないものよりも鮮明に、長く記憶される。

覚えてもらうためには、【シンプル】【繰り返し】【意味のあるメッセージ】


消費者が何も考えずに自然と選びたくなるようにすることこそ、マーケターの務め。



■覚えておくべき判断脳の役割
初めてのものごとには判断脳があたる。判断脳が関わっている間は決定権は判断脳にある。


脳内に保持されている膨大な情報を必要に応じて呼び起こしたり組み合わせる。
情報の組み合わせ方は、「カテゴリー分け」「ワーキングメモリ」に影響を強く受ける。

▼カテゴリー分け
大切な彼女との食事を外食にするとしたら・・

軽食/しっかり食べる?イタリアン?価格帯は?
などと考えながら、一つの店を決定する。

そこには、脳のカテゴリー分けのメカニズムが作用する。
脳は一見矛盾しているカテゴリーをつくることもあるの。

「鳥」=「空を飛ぶ生き物」でも、ペンギンも「鳥」に入れる。


消費者がカテゴリー分けするときのルールを理解すれば、それをポジショニングに反映させることができる。
アップルのニュートンはカテゴリー分けが難しい商品で、失敗した。
その後、PDAというカテゴリーが出て、さらに派生のスマートフォンは、そのカテゴリーがしっかりビジネスパーソンの脳に刻まれ成功した。



▼ワーキングメモリ
いつでもアクセスできるオンライン状態で保管され、問題解決のために必要な情報が呼び出される。

ワーキングメモリで保持できる情報量は個人差が大きい。
消費者はできるだけ思い煩いたくないと思っている。
→選択肢が多いとそれだけワーキングメモリに負荷をかける。



顧客満足度より大切なこと

「顧客を満足させるのは基本的には意味のない行為であり、顧客満足度の測定や向上に時間をかけるのは無駄である」
顧客満足度を高めても、リピーターは増えない」


消費者がモノを買うとき、その商品に何らかの期待を抱く。
満足を覚えるのは、自分の期待を上回ったときだけである。


消費者アンケートの回答は判断脳でなされ、実際の行動は習慣脳に影響を受ける。
→人間の行動の95%を支配しているのは無意識(=習慣脳)である。


消費行動は、「認知→関心→評価→施行→初購入」という段階を経る。
初購入の後に「満足→リピート購入」と続くと、「習慣」が形成される。


顧客満足度ではなく顧客の習慣度を追求すべき



消費者は、商品の細かい特徴には関心を向けない。しかし、価格、商品の性能、パッケージ、カスタマーサービスなど一つでも気

に障ることがあると、習慣化が中断される。

判断脳が支配を続けている限り、リピーターにはならない。



■消費者がモノを買うときの習慣タイプ

 ・自動的に選択するモード:買い慣れた店で買い慣れたモノを買う

 ・自分ルール重視モード:自分なりのルールに従って買おうとする

 ・新しいものを試してみたいモード:判断脳でお買い得かどうか、他も試してみようかと考える。


新商品が成功するためには、それを使う習慣を新たに根付かせるか、すでに身についている習慣に取って代わらなければならない。

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我々は判断脳で考える。だから、習慣脳に受け入れられやすい商品を作ることが大切だとはなかなか思えない。
それでも、この必要性に気づける人が素晴らしい商品を生み出す。

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