ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

ビジネススクリーン 9象限マトリックス

ビジネススクリーンとは、GE(ゼネラル・エレクトリック)とマッキンゼーが開発した9つのセルを使って、事業を9つのタイプに分けた上で、資源配分の方針を決めるためのツールである。

GEのビジネスクリーンでは、PPMのように単に市場成長率とシェアで分類するのではなく、様々な要素を重み付けをしながら複合的に勘案した「長期的な業界の魅力度」と、「競争ポジション(事業の強度)」を軸にとっています。


PPMの場合、2つの軸は2等分されていたので、4つの象限に分類されましたが、ビジネススクリーンの場合は、軸は3等分されるので、9の象限に分類されます。その分、ビジネススクリーンの方が高度な分析方法となります。

PPMでは、「産業の魅力度」として、市場の成長率を尺度にしていましたが、ビジネススクリーンの場合は、「産業の魅力度」の評価基準としては、市場成長率だけでなく、市場規模やその業界の利益率なども考慮します。
また、PPMでは、「自社の強み」として、マーケットシェアを尺度にしていましたが、ビジネススクリーンの場合は、「自社の強み」」の評価基準としては、マーケットシェア(市場占有率)だけでなく、価格競争力、技術力、品質力なども考慮します。


産業の魅力度
ライフ・サイクル 成長期、成熟期、衰退期
市場要因 規模、成長率、安定度、細分化度
競争状態 寡占度、参入難易度、垂直統合状況、価格弾性値
収益性 平均利益率、キャッシュ・フローの特質
労働生産性 賃金コスト
環境条件 公害、労働安全性、社会的政治的法的要因

自社の強み
販売力 知名度、固定顧客、宣伝力、販売網、統制力
技術力 特許、生産技術、工法、工程、品質、デザイン
資源力 資金力、人材力、原材料確保力、下請管理力
収益力 限界利益、キャッシュ・フロー、投下資本利益率
競争力 マーケット・シェア


ビジネススクリーンには、いろいろな指標を選んだり、評価の過程で議論を加えやすいプロセス型のポートフォリオなので、意思決定に柔軟に活用できるというメリットがある一方、評価に内部データを使うことが多く、他社との比較を行いにくいというデメリットや指標の取り方が主観的になりがちであるというデメリットがあります。


PPMとビジネススクリーンに共通する課題として、事業間の相乗効果をまったく無視している点も、多くの研究者によって指摘されています。PPMでの負け犬に分類された事業が撤退したことによって、他の事業で生産している製品まで弱体化してしまうことは十分にあり得ることです。撤退事業の製品が主力商品の競争力を決定づけるような基幹部品である場合は、基幹事業にさえ影響を与えかねません。
PPMとビジネススクリーンに共通する課題として、構成員の心理的影響もあります。PPMでの負け犬に分類されるだけで、その事業に所属している社員の士気へも大きく影響します。ましてや、PPMでの負け犬に分類された事業は撤退と決められているのでは、なおさらでしょう。したがって、PPMやビジネススクリーンを導入する場合には、構成員に与える心理的影響に十分配慮する必要があります。