ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

不敗

「勝利」と「敗北」以外に、戦いには「不敗」という過程や結果がある。
確かに、ライバルに勝るとも劣らない努力を重ねている限り、そうそう負かされることはないはずだ。

ナポレオン以前の君主同士の戦争では、基本的には軍隊の保全が最優先、軍事行動も予算のしばりがあって、行動半径も食料が確保できる範囲までと述べたが、軍事的にいえばこの状況で、無理せず睨み合いが続いたり、撤兵してしまうのが「不敗」となる。雌雄を決する強い動機がない限り、これでもまったく問題はないのだ。

さらに、「勝利」できるか否かは、相手次第だと『孫子』は説く。

だからこそ、まず「不敗」の態勢をつくっておいて、ライバルや環境のチャンスを見て勝ちに行くという道筋を『孫子』は戦いの基本に据えた。

この観点からは、そもそも戦略とは3つのパターンがあることがわかってくる。それは次のようなものだ。

・最初から勝利を目指すべきもの
・不敗を維持していれば良いもの
・不敗を守って勝利へと移行することを目指すもの

 自分の目標が、どの道筋によって達成されるのかを最初からよくよく見定めて、戦略とは立てなければならないのだ。道筋を取り違えてしまえば、当然、目標の到達は覚束なくなる。

孫子』には、もう1つ戦いに入る場合の、重要な基本概念がある。それが「短期決戦」だ。
短期決戦で勝てる相手とだけ戦う、という意味での「短期決戦」
もしそれが無理であるならば、政治・外交戦略でうまく戦いを避け、チャンスがくるのを待てばよい。

しかし、こちらがいくら政治・外交戦略を駆使したにもかかわらず、敵が一方的に攻め込んできたら、どうすればよいのか──おそらく『孫子』の答えはこうだ。

「負けなければよい」

つまり、「短期決戦」と「不敗」というのは、戦いの終わらせ方の二類型として捉えることができるのだ。こうして消耗戦を極力避けることで、ライバル多数の状況を生き残ろうというのが、孫武の発想だったのだ。
ただし、この考え方には、1つ条件がある。「不敗」や「短期決戦」が可能になるためには、敵が「非打算的な衝動」に駆られていないことが必要不可欠なのだ。