1 相手の心とつかむ
交渉は人間心理を理解した上で進めることが大事。まずは相手の主張をよく聴き、聞きだしたことは全て交渉の情報とし、心理学的知識を巧みに利用することで有利に交渉を進めることができるようになる。
①交渉の相手は誰であれ、常識ある人間として接する。
相手が変な人間だと言う前提に立ってしまっては、まともな交渉等できない。
②相手に「聞く姿勢」を示し、相手の「主張の価値」を認める。
どんな相手でも挨拶等、きちんとした態度で接すること。
③腹に溜まったものをすべてはき出させる。
ガス抜き効果も期待できる。
④聞きだしたことは、すべて交渉の情報になる。
どんどん相手に話して貰うと、相手が自発的に自分側の情報を開示することになる。
⑤相手との共通点を「とっかかり」にする。
リラックスした雰囲気を作るのに役立つ。
⑥個人的な関係があっても、公の場での利用は避ける。
うっかりすると相手の立場を非常に苦しいものにする。
⑦交渉の参加者には「事前の相談」「事前のひと言」を忘れない。
人間は決定そのものに不満は無くても、決定プロセスに参加しないと不満を抱くものである。
⑧小さな「貸し」から譲歩を引き出す。
最初に大きな要求をして、譲歩と言う貸しを作ってから目的を果たす。
⑨「YES」を重ねさせ、条件を引き出す。
交渉の場では、ともかく何でもいいから「YES」を連発させろ!
⑩「権威ある材料」が多くあると交渉のイニシアチブを取りやすい。
悪意のある「ハッタリ」と言うこともあるので、回答を留保し、出所はしっかり調べること。
2 心を揺さぶる、感性の交渉
情報伝達の手段としてストーリが効果的。ストーリー構成は「誘引」「期待」「満足」という流れに。理屈抜きで心情を揺さぶるものであれば、ストーリーでなくてもよい。交渉の場で心情に訴えるには、身近な具体例を挙げるのがいい。
3 落としどころを見極めるーゲーム理論
相手の行動を想定して戦略を立てる際に、ゲーム理論は有効である。囚人のジレンマで、それぞれのプレイヤーが最適の戦略をとった状態が「ナッシュ均衡」である。実社会ではナッシュ均衡に落ち着かないことが多い。人間心理には、理論では説明できない「公平性への志向」がある。「交渉力」となるものには、「代替的選択」「オプション」「時間的コストの安さ」「情報」がある。コミットメントは交渉力を強化する。シグナリングを使って、自分の立場を戦略的によくすることもできる。
シグナリング=指輪を贈る・・・結婚したいというシグナル
4 確実に攻めるためのツール クリティカル・シンキング
交渉では、自分の主張の根拠、想定される相手の主張への論理的反論を考えておく必要がある。クリティカルシンキングは、論理的に考えるに適したツール。交渉に当たっては、仮説をいくつか持っていると絶対有利。主張を論理的に組み立てると、ピラミッド構造になる。
クリティカル・シンキング
演繹法 A=B B=C A=C
一般的ルールを示し、目前の事実をあてはめると、結論が出る
帰納法 いくつかの共通の事象の共通点に着目し、結論を導き出すもの
5 機先を制する交渉のスタイル
大切な交渉のときは服装に気を配る。話し方には注意する。交渉場所はホームが絶対有利とは限らないが、場所は近いほうがよい。