ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

ヒューリスティック

ヒューリスティックとは、何かを短時間で楽に識別・判断したいときに利用する、単純化された手掛かりのことです。

よく出される例として、信号機が分かりやすいです。交通量の多い交差点を渡るときを浮かべてみてください。車・バイクの位置関係や状態を全て完璧に把握して渡るかどうかを判断すれば、事故には遭わないでしょうが、そうした複雑な情報を瞬時に判断するのは無理です。そこで、信号機の色をヒューリスティックとして用いるわけです。本来、青・黄・赤という色自体には何の意味もなかったのですが、青=渡れ、黄=注意、赤=停まれという意味を共通理解とすることで、色を見るだけで渡るべきかどうかが判断できるようになったわけです。

さて、心理学で用いられるヒューリスティックは、もう少し違う文脈で語られることが多いです。代表性ヒューリスティックとは、ある出来事の発生確率を考えるとき、その出来事に典型的な特徴を持つ内容に対して過剰に反応してしまう性向を言います。例えば、朝学校に行ったら、窓ガラスが全て割られていました。窓ガラスを割った犯人として、A. 高校生、B. 暴走族のヤンキー男子高生、のどちらがありうる(発生確率はどちらが高い)でしょうか?という質問をしたとします。直観的に、Bを選んでしまう人が多いのですが、選択肢をよく見ると、BはAより限定的であり、逆にAはBよりも範囲が広いため、Aである確率はBよりも高くなければならないのですが、「暴走族」で「ヤンキー」といった特徴が、窓ガラスを割りそうな典型として強く認知されるために、代表性ヒューリスティックが働き、Bを選らんでしまうわけです。

一方、利用可能ヒューリスティックとは、頭に思い浮かびやすい、目立ちやすい手掛かりを利用する傾向を指します。例えばトヨタと日産とホンダ、どのメーカーが最も環境に配慮した車を作っているでしょうかと聞くと、おそらく最も有名なエコカーである、「プリウス」を思い浮かぶ人が多いため、トヨタと答える人の割合が多かったり、交通事故現場を見てしまった後は、自動車事故による死亡者数や発生件数を多く見積もったり、あるレストランを総評する際、もっとも思い出しやすい、最近食べた料理の善し悪しで判断したり、といった例が挙げられると思います。

                                                                                                • -

利用可能性ヒューリスティック (availability heuristic)
想起しやすい事柄や事項を優先して評価しやすい意思決定プロセスのことをいう。
英語の訳語である検索容易性という言葉の示す通りのヒューリスティックである。

代表性ヒューリスティック (representative heuristic)
特定のカテゴリーに典型的と思われる事項の確率を過大に評価しやすい意思決定プロセスをいう。