ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

共有地の悲劇

社会的ジレンマの例の一つとして有名な寓話。ギャレット・ハーディンが1968年に、サイエンス誌に発表したもの。

誰でも自由に利用できる(オープンアクセス)状態にある共有資源(出入り自由な放牧場や漁場など)が、管理がうまくいかないために、過剰に摂取され資源の劣化が起ること。ギャレット・ハーディン(アメリカ、1915〜)の著書「共有地の悲劇」によって提唱され、反共産主義への理論的根拠ともされた。
例えば、共同牧草地において、個々の農家はより多くの利益を求めている。そのため、他の農家より一頭でも多くの家畜を放牧することをお互いにしてしまうため過剰放牧がおこり、すべての農家が結果的に共倒れしてしまうという。

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産業革命以前の英国には、「コモンズ」と呼ばれる共有の牧草地があり、農民は、そこに羊を放ち飼育していた。 しかし、農民が自給自足のために共有地を利用している間はよかった。産業革命により羊毛の需要が高まると、自給自足の範囲を超え、利潤のために一匹でも多くの羊を飼おうとして、共有地に多くの羊を放つ結果となった。

共有地の羊飼育能力には限界があり、もし、それを超えて羊が放たれれば、共有地は荒れ果て、羊の育成が悪くなり、やがて飼育能力を持たなくなる。 これが「共有地の悲劇」である。

牧草地が農民個人所有のものであれば、土地の収容能力を考慮して放牧する羊の数を制御するであろう。ところが、共有地となると、農民が自己の利益だけを考えている限り、限度を超えてしまうことになる。

100人の農民が、それぞれ10頭の羊を所有し、共有地に放って一頭当たり10,000円の利益を得ているとする。 もし、誰かが、1頭の羊を余計に放つと、1頭あたり100円分だけ利益が減少するとする。

1頭の羊が追加されても、追加した羊をもつ農民は、各羊から9,900円の利益が得られるので、11頭の羊から108,900円の利益が得られ、10頭のときの100,000円を凌ぐことになる。

ところが、全体としては、合計1,000頭の羊からの利益がそれぞれ100円の減益になり、合計では100,000円の減収となっている。 もし、1000頭の羊と牧草地が個人のものであれば、そのような選択はしないであろう。 

また、農民は、1頭当たりの収入が減り始めると、その減少をカバーするために、羊の数を増やそうとし、共有地の奪い合いとなる。

農民は、羊の数が増えれば牧草地の能力が低下することを知らないわけでない。しかし、誰もが見て視ぬ振りを決め込み、破局を迎える。