ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

ムーンショット

50年以上前、アメリカ大統領のジョン・F・ケネディは次のように述べて、世界の夢をふくらませた。「我が国は目標の達成に全力を傾ける。1960年代が終わる前に、月面に人類を着陸させ、無事に地球に帰還させるという目標である」。こうして、ムーンショット(月ロケットの打ち上げ)という言葉は、「困難な、あるいは莫大な費用のかかる取り組みで、実現すれば大きなインパクトが期待できるもの」を意味する用語となった。

企業はそれぞれにムーンショットを持つべきだ。ムーンショットは、我々が「未来からの逆算」と呼んでいる戦略アプローチの要となる。このアプローチは、ほとんどの戦略策定プロセスで用いられる「現在を起点とした前進」とは異なる。安定した時期であれば、現在地点から将来を見通すアプローチは資源配分の最適化に貢献する。しかし、変動の激しい時期にこれを行っていると、市場の重要な転換点を見逃すことになる


優れたムーンショットには3つの要素がある。

1つ目は、人を魅了し、奮い立たせるものであること(inspire)。ケネディの言葉は士気を高揚させる。企業目標にありがちな、「投下資本利益率を13.4%から13.9%に伸ばす」といったものでは、あまり気分は高まらない。この種の財務目標は重要かもしれないが、桁はずれなことを達成させるよう従業員を突き動かすものではない。

2つ目は、信憑性だ(credible)。ムーンショットを、単なる非常識で過大な目標だと見なすことは簡単だ。だが、ケネディは演説を行う前に、ジョンソン副大統領に命じて基礎となる技術トレンドを詳細に調査させ、目標達成の可能性があることを確認している。

3つ目は、創意あふれる斬新なものであること(imaginative)。ムーンショットは、今日起きていることをただ延長したもの(ケネディの例で言えば、「宇宙に向かってより遠くに飛ぶ」など)ではない。過去からの意義ある断絶が欠かせない。