ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

超長期の為替レートは円安へ

ドル円相場は年初、いったん127円台まで円高になり、4月には137円台で推移するなど相応に乱高下しているように見えるかもしれないが、「円の購買力である実質為替レートは下がり続けている」

<実質為替レート>
円レートは20年前とほとんど変わらないのに、日本の物価や賃金は米国に比べて50%近くも安くなっている。ゆえに、円の評価や実力ということでも50%近く、相対的に下がっていると考えるべきだ。
このような視点から円の実力を見るための指標が「実質為替レート」である。ドル円レートの動きに加えて物価の動きを考慮に入れた、ドル円レートの実質値ということになる。具体的には日本の物価上昇を円高方向に、米国の物価上昇を円安方向にカウントする。

 

---実質為替レート過去50年---
1968年に世界第2の経済大国に躍り出た日本。その3年後に起きたニクソンショック以降、社会学者エズラ・ヴォーゲルが79年に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を上梓し、89年末に日経平均株価が史上最高値を記録するのと歩みを一にする形で円高が進んだ。90年代半ばにバブル経済が崩壊し日本経済が停滞期に入って以降も、それまで蓄積した貿易黒字の「貯金」に支えられる形で円高水準が維持された。実質為替レートでみる限り、その水準が明確に円安方向に向かったのは、ここ10年間。

過去50年間の実質為替レートは、1990年代半ばを境に、大きく二つの局面に分かれる。1970年代から1990年代半ばまでの実質円高のトレンドは、製造業の相対的な生産性上昇率の高さが主因。1990年代半ば以降の実質円安のトレンドは、製造業の生産性上昇率の相対的な低さが主因。円高回避が黒田緩和の功績とされるが、それとはかかわりなく、実質円安が進んでいたと思われる。
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短期には「金利」で決まる為替だが、長期には「国力」が国家の通貨価値を規定していく。

円安が続くと海外から高価なものを購入できなくなる。高性能の半導体が、日本では買えなくなる。そうなれば、それらを用いた製品を作ることもできなくなる。
あるいは、外国から人材を呼ぶことができなくなる。訪日外国人(インバウンド)の増加につながる一方、原燃料など輸入品の値上がりを通し国富の流出を招く。
日本の将来の成長にとって、大きなマイナスだ。

平均給与水準の低さや財政状況なども含め、円安の根本的な原因には日本の国力低下がある。実力に対して割高に放置されていた円相場の修正が起き始めた。

「国力」の基本は人口だ。今のペースでいけば、2056年に人口が1億人を下回り、 50年後の人口8700万人で4割が高齢者になる。今世紀末には日本の総人口は今の半分以下になってしまう。

加えて、台湾有事等東アジアの地政学リスクは高まっていく。

人口を減らし高齢化させ貧困化させてしまうときに、安全保障上のリスクも高まるのだ。それに加えて、東南海トラフ地震、富士山噴火、首都直下地震などの大規模な災害も予想される。そういう国の通貨を誰が使用し保有してくれるだろうか? 

つまり、円安。