ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

ネーミング

最近のネーミングの傾向は、コンセプト型、ターゲット型、素材型、機能型、意味型に分類できる。

 コンセプト型は商品のコンセプトからネーミングするタイプ。サントリーDAKARA」は「不摂生な現代人のための身体バランス飲料」というコンセプトから「飲んで欲しい科学的理由がある」の意で「DAKARA(だから)」と名づけられた。

 ターゲット型は商品のイメージターゲットを設定してネーミングするタイプ。サントリーなっちゃん」がそれにあたる。「みんなで楽しく遊んだ夏、隣に住んでいた女の子の名前」という設定からネーミングされた。

 素材型は商品の素材に関することからネーミングするタイプ。生産地をネーミングに生かした「南アルプスの天然水」、中国で愛飲される緑茶であることからネーミングされた「中国緑茶」がそれにあたる。

 また機能型は商品の機能をそのままネーミングに生かすタイプである。「ポット洗浄中」「熱さまシート」「冷えピタ」等、ネーミングからどういう商品であるかが一目瞭然だ。

 意味型は商品の意味をネーミングに変換するタイプ。「スジャータ」はお釈迦様に牛乳を供養したと言われるインドの娘の名前からと
った。また「ヤクルト」は世界共通語として作ったエスペラント語でヨーグルトを意味する言葉である。このように意味を聞かされると、なるほど、そうなのか、と思って強く記憶に残る。


ネーミングをする対象の外観や機能、仕様を検討し、そのベネフィット(消費者にも
たらす利益)を考え、人の口に出やすいような言葉を選ぶ。こうした緻密な作業を経てはじめて、いいネーミングになる。

ネーミングテクニックその1
ネーミング素材の足し算、引き算、掛け算、繰り返し算からネーミングする。

足し算はネーミング素材をふたつ足し合わせるというもの。「のりたま(のり+たまご)」「かっぱえびせん(かっぱあられ+えびせんべ
い)」「ゼロの焦点(ゼロ+焦点)」がそれにあたる。作家松本清張氏はこのテクニックの達人であり、「眼の気流」「遠い接近」「歪んだ複
写」「霧の旗」など確かにこのテクニックを使った秀作が多い。

 引き算はネーミングの素材やキーワードから不要な要素を引く。「デンキブラン(デンキブランデー−デー)」「ダスキン(ダストゾーキン
−トゾー)」「ウォッシュレット(ウォッシュトイレット−トイ)」「ダイナブック(ダイナミックブック−ミック)」。

 掛け算はさらに①意味の掛け算、②言葉のオーバーラップ、③語呂合わせの3つがある。
 まず、意味の掛け算。これは本来の意味に新しい別の意味を持たせる方法である。
 「BOXING」はアルフレックスというインテリアメーカーのコンポーネント家具のネーミング。スポーツのボクシングと同じ表記だが、箱=
BOXに組み立てる行為=INGがついてBOXINGとなった。また「CASE BY CASE」もコンポーネント家具のネーミング。本来の「場合によ
って」という意味と「ケースのそばにまたケース」というダブルミーニングになっている。

 次は言葉のオーバーラップ。ふたつの言葉をオーバーラップさせて意味を作る。サクライ化粧品の「COSMEDICS」は、「COSMETIC」
と「MEDICS」が掛け合わされていて、ひとつの言葉でふたつの意味を表している。「TOSFILE」「OKIFAX」「コダカラー」などもこの例に
あたる。

 そして語呂合わせ。ある言葉の中の一字を取り替えて別の意味を重ねていくやり方である。「最洗ターン」は洗濯機の水流のネーミ
ングであるが、「最先端」をカタカナ表記した「サイセンタン」に一字を加えて「イセンターン」とし、それに意味を持たせ「最洗ターン(最もよく洗う、回転方式の変換を果した水流)」としたもの。

 繰り返し算は同じ言葉を繰り返し、重ねることでネーミングする方法。パンダの「ランラン」やエアコンの「ひえひえ」、電気コタツの「のびのび」など適用範囲は広い。



ネーミングテクニックその2
「ある種のズレが人々を魅了する」
このズレを意識的に作るのがレトリックなのである。レトリックと言うと何やら難しそうだが、要するに何かに例えればいいのである。

 まず換喩(メトノミー)。自分が考えていることをそれと関係性があるものに例える方法である。お風呂に入れると色や香りでいい気分になるだけでなく、お風呂自体もきれいになる。そういう商品であることを例えて「バスクリン(バス=お風呂、クリン=クリーン=きれいになる)」というネーミングが生まれた。「味の素」は食材や調味料の味覚をさらにおいしくするもの。それを「味」の「素=基本」と表した。

 隠喩(メタファー)。アリストテレスは「メタファーは天才のしるし」とこの能力が高い人を賞賛した。これは直喩ととても似ているが、例えられるものが自分の考えていることと無関係であるところが異なる。「ジャガー」はクルマの名前である。ジャガー=豹のように、しなやかな外観で速いクルマであることを表したかったのであろう。しかし、クルマはジャガー=豹ではない。バスクリンがお風呂をきれいにするという意味ときわめて近い関係にあるのに対して、クルマ→ジャガーが無関係である点が異なる訳だ。「ロレックスエクスプローラー」は、キムタクがブームを起こした時計であるが、エクスプローラー=冒険者がするようなタフな時計であることを表現している。

 提喩(シネクドキ)。類と種の関係を入れ替えるレトリックである。「米が買えない」と言うが、実際は米どころか食べ物が買えない状態を表す言葉である。この場合「食べ物」という類を「米」という種で表している。一方、「おめでた」という言葉は「妊娠」を表す言葉であるが、「おめでた=おめでたい」という類で「妊娠」という種を表している。ネーミングでよく見かけるのは、種を表現して類を表すケース。
「グリコ」はその主成分であるグリコーゲンからきているが、グリコという成分でキャラメルという類を表現した。「カルピス(カルシューム)」「サプリ(サプリメント)」も同様である。

 異形、これはグロテスクなものに変換する方法である。例えば「あなたの性格を色に例えなさい」と言われれば、「白」=素直、「赤」=情熱的、「緑」=おだやかなどのプラスイメージを想起するであろう。これを「黒」と言ったらどうか。黒は負けや犯人などのマイナスのイメージがついてまわるので、たいていの人はこれに例えない。しかし、もしその理由が「いろいろな人とうまくやれるのであらゆる色を取
り込んで生まれる黒という色を思いつきました」と言ったらどうだろう。「なるほど」と思うのではないか。異形はこれと同じ効果を期待するレトリックである。「ケロリン」は頭痛薬であるが、ネーミングだけ見たらちょっと違和感のあるネーミングである。しかし頭痛がすぐすっきり治るの意でケロリンだと分かれば納得してしまう。「すいません」は生命保険会社の商品名。たばこを吸わない人を対象にした特
約保険である。たばこを吸わないの意とたばこを吸う人はお断り=すいませんのダブルミーニングと読み取れる。

 矛盾(オクシロモン)。相互に対立し矛盾するものに変換する。「キレカジ」はキレイなカジュアルの意。1990年頃に流行した、ジーンズに紺のブレザー(コンブレ)を合わせるファッションのネーミングである。カジュアルとキレイの矛盾をジーンズと紺のブレザーで表現した。「無印良品」も矛盾である。無印=ブランドでないものが良品とはこれいかに?
またトヨタのハリヤーのコマーシャルで、テキシードを着ている紳士の顔がライオンであったものがあった。このキャッチコピーが「ワイルド バット フォーマル(野性味があるが、正式なクルマ)」であった。これも矛盾というレトリックを使った例である。

 最後に誇張(ハイパーバリー)。意味するもの以上に拡大変換する。「セメダイン」は「セメント(結合する)」と「ダイン(力の単位)」の合成語。とても強い結合を表現した。「クールミントガム」はミントだけでもすっとするものを、さらにクールを加えて超クールになることを表現している。「スーパードライ」もこれと同じで超辛口を表している。



ネーミングテクニックその3
最初の音
カ行音は、誰にも活舌よく発音しやすいので、インパクトのある商品名が作りやすく、コカコーラ、コダック、キリン、カルピスなど大ブランドが目白押しです。トヨタ自動車では、一時、クラウン、コロナ、カローラ、カリーナ、カムリなどカ行音の車のオンパレードでした。

ガ行音はグリコ、ガンダムなど力強く、対照的に柔らかいが印象的というのは、パ行音、破裂音です。プリンスホテルのショッピング街「プリンスプロムナード・ぺぺ」はその典型で、オシャレです。西武はもともとパルコ、PISAなどPの音を好んで使っています。

サ行、シャ行もオシャレな響きで、セレブ、シロガネーゼなどの流行語化も音感が重要な要因です。ブランドの王者、シャネルは人名による偶然ですが、やはり響きも良いです。トヨタも高級車にはセルシオセリカなどサ行を使いました。


ネーミングテクニックその4
特許電子図書館 初心者向け簡易検索(商標)にアクセスし、ネーミングに使いたい単語を検索

1. ネーミングに使いたい単語を入れて検索する
2. 出力されるリストからネーミングのヒントを見つける
3. 名前のもじり方やテイストを組み合わせてネーミング