ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

マーケティング3.0

コモディティ化が進めば差別化は困難になり、知恵のない企業は価格を軸とした競争にシフトせざるを得ない。だが、マーケティングに長けた企業は、様々な視点からコモディティ化への挑戦を続けている。ブランドの構築、ソリューション発想、顧客代行(製品開発など、マーケティングの一部を顧客に担ってもらう)などは、いずれもコモディティ化した市場におけるマーケティング対応といえる。

 上で述べた対応に加えて、この数年、社会的価値の提供による対応が注目されている。2010年、ノースウェスタン大学のフィリップ・コトラー教授らによって『マーケティング3.0』が発表されると、マーケティングに対する期待や意識が大きく変化し始めた。

 コトラー教授らによると、マーケティング1.0の段階では製品やサービスの機能的価値にフォーカスしていた。自動車であれば、燃費や馬力や走行性、洗剤であれば洗浄力などだ。ところが市場の成熟化が強調され始めると、機能的価値だけではなく情緒的価値がクローズアップされるようになる。マーケティング2.0の段階である。高級車ならドアを閉めた際に重厚感のある音が響いたり、パワーウインドウが閉まる寸前にゆっくりとした動きになったりする工夫。洗剤であれば香りでブランドのユニークさを主張する。

 そしてマーケティング3.0の段階になると、機能的価値、情緒的価値に加えて社会的価値が追加される(図表2)。2011年に発売されたトヨタ「アクア」の場合は、先駆的なハイブリッドエンジンによる最高水準の燃費性能を訴え、同社の「プリウス」よりも小型で価格も抑え、経済的で環境にやさしい自動車に仕上がっている。すすぎが一回ですみ、節水や節電を実現してくれる花王の「アタックNeo」もマーケティング3.0段階の製品といえる。