ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

ディシジョン・ツリー

とりうる選択肢や起こりうるシナリオすべてを樹形図の形で洗い出し、それぞれの選択肢の期待値を比較検討した上で、実際にとるべき選択肢を決定する手法。
ディシジョン・ツリーではまず、誰が意思決定者かを確認した上で、意思決定者にどのような選択肢(代替案)があるかをリストアップする。次に、それぞれの選択肢について、「起こりうる(不確実な)事柄」をリストアップする。そしてリストアップした事象それぞれについて、その事象が起こる確率とそのときのリターンを求める。確率は、ある選択肢内の合計が1(100%)になることを確認する。リターンは、企業の意思決定の場合、なるべく金銭に置き換えて定量化する。
このような作業を経て起こりうるシナリオを可視化し、ツリー全体に不備がないことを確認した上で、最終的に各選択肢の期待値の計算を行い、意思決定を行う。

実務でディシジョン・ツリーを用いるときに難しいのは、本来不確実であるリターンの額や、その発生確率を定量化することである。そのため、ディシジョン・ツリーを直接的に意思決定に応用しているのは、製薬や石油発掘など、リターンや発生確率を比較的推定しやすい業界に限られがちである。

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 いま、10億円をかけて商品Aを開発するか、1億円で商品Bを開発するか、どちらかの選択があるとします。

 決め手は、商品を投入できる2年後から3年間の景気動向。商品Aは生活への密着度は低いが遊び心にあふれているので、景気が上向き続ければ100億円の売上(3年間の累計。以下同様)を見込めます。しかし横ばいないし下降基調にあっては5億円しか期待できません。商品Bは逆に不況に強いタイプで、2億円は堅いと予測されています。ただし景気が上向いた場合でも、売上は5億円にとどまる見込みです。予測によれば、当該期間に景気が上向き続ける確率は5%でした。


 こんな状況下で使えるのが、ディシジョン・ツリーです。この場合、商品AかBを選択し、それぞれのケースで景気が上向き続けた場合とそうでない場合があるので、4つのシナリオがあります。それぞれのシナリオの結果と、そのシナリオが実現する確率を掛け合わせ、商品ごとに足し合わせれば、商品ごとの結果(今回は売上)の期待値が計算できます。

 そこから開発コストを引くと、商品Bの方が期待利益が大きいことが分かります。商品Aは赤字でした(流通・販売コストなどは一切無視しています)。

 ツリーを広げたり、深めたりすることで、より精緻なシナリオが作れます。「広げる」とは、たとえば商品AとBに加えて「C」、好景気/不景気に「変わらない」という新しい選択肢を加えることです。「深める」とは、たとえば(3年後でなく)1.5年後の景気によって、次の1.5年の決断(拡大/縮小/撤退)をするといったことです。