ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

組織戦略の考え方

■組織設計の基本は官僚制
「官僚制」という言葉はどうも最近世間では旗色が悪いネガティブなイメージで語られがちだが、実は会社を支える基本・足腰。ルーチンワークを確実に遂行できる人たちがいなければ会社は成り立たない


ボトルネックへの注目
「ザ・ゴール」の「ボトルネック」の概念を組織の意思決定に適用している。仕事のできる人に仕事が集中しがちなので、そこが組織のボトルネックになる。その人でなければできない仕事以外はなるべく他の人に担当させ、エースのリソースを無駄にするな


■組織デザインは万能薬ではない
「うちの組織はメチャクチャだ」「マトリックス組織万能論」に対して、問題を解決するのは組織設計ではなく最後は人だ、と一刀両断


■欲求階層説の誤用
マズローの5段階の欲求階層説―「最後に人間がたどり着くのは自己実現欲求」だけが強調されすぎると、その一歩手前にある「承認・尊厳欲求」が軽視されるのが問題である。「自己実現という美しい言葉」は、会社にとって安上がり(ポスト・賃金を与える必要もなく、個々人が勝手に自己実現し続けてくれれば良いから)であり、金もポストもなくても、多くの手段がある


■組織の中のフリーライダー
批判だけしてコミットしない、ただ乗り人材の弊害である。そういった厄介者(=子供)を叱り飛ばす怖い大人が必要不可欠なのだ。
「信頼できる中間層」をいかにして確保するか


■決断不足
組織が安定してくると「落としどころ感知器」としての能力の高い人が登用される傾向がある。トップが決断できない組織は、どのような特徴を持ってくるか(①フルライン、フルスペック要求 ②経営改革検討委員会の増殖 ③人材育成プログラムの提案 は、どれもトップが決断できないがゆえに起こる)


■トラの権力、キツネの権力
組織の実力者を「トラ」その威を借り、自分に都合の良い方向に意思決定を捻じ曲げる「キツネ」、キツネの権力を作らないためには、社内調整専門のポストを作るべきではない


■奇妙な権力の生まれる瞬間
「宦官」の台頭を許さないために、「ウチ向きマネジメント」を昇進の評価基準にすべきではない


■組織腐敗のメカニズム、組織腐敗の診断と処方
●ルールの複雑怪奇化
古いルールや手続きを廃棄処分にして新しいルールを作る新陳代謝が起こりにくく、古いものの上に新しい物が追加的に加わるため、古い組織ほど複雑怪奇なルールを持つ。「ルールの抜け道」「運用」のプロ、すなわち社内宦官が権力を持つようになり、外からお金を稼いでくる「武闘派」の足を引っ張り、若手が徐々に宦官化していく


●成熟事業部の暇
成熟事業部ではみんなが仕事に慣れてきているので仕事遂行能力が余っている。その余った時間で内向きの無用な仕事(ムダに社内用の企画書・プレゼン資料に凝りはじめる、他人の資料にケチを付ける能力の洗練とそれをかいくぐるための根回し労力の増加、秀才が暇を持て余し本来必要ではない細かなスペック変更が行われる)が次々と生み出される


◆組織の「腐敗度」チェック指標
皆がどれだけ暇で、暇がどれだけ内向きの仕事に費やされているかをチェックする指標であり、以下の2つが挙げられています。

1)社内手続きと事業分析のバランス

新規事業開発の企画を正当化するのに、事業内容の検討と、社内正当化プロセス(稟議)に費やす時間の割合 -- 社内からの批判の対処に4割時間を取られているようなら病気

2)スタッフたちのコトバ遊び
①社員の雑談の内容が内向きか、外向きか -- 管理職・経営陣の仲の良さ悪さに関する感情論や、当事者が傷つくといった配慮論(内向き)か、最近調子の良い社内の新事業はなぜ成功しているのか、逆に失敗した事業はどこがダメだったのか(外向き) ②本社戦略スタッフの企画がメタファーを多用したコトバ遊び -- 戦略実行の現場をイメージできない空理空論 -- になっていないかどうか


◆腐敗からの回復
組織の問題は、最悪の事態に至るまで、なかなか必要な手立てが打てないのが難しいところですが、腐った組織を復活させるためのポイントが、3つ挙げられています。

1)複雑怪奇化したルール・手続きは全面的に破壊

2)成熟事業部から優秀な若手を乱暴に引き抜き、新規事業等、外向きの意識になる仕事へつける

3)忙しさと暇のメリハリをハッキリつける組織運営 -- 最初のステップとして、仕事ができる人を暇にすると、新事業開発や省力化など利益に直結する新しい仕事を考案できるようになる