「ナッジ(nudge)」とは注意や合図のためにひじで人をそっと突くことを指す英単語です。2003年にシカゴ大学経営大学院に所属するリチャード・セイラー氏と法学者キャスサスティーン氏の論文「リバタリアン・パターナリズム」で提唱されて以降、行動経済学の分野で注目されてきました。
ナッジは「選択構造」を利用した行動経済学にもとづく戦略だ。選択構造とは、「選択肢を提示する形」のこと。
実際のところ、ナッジとは優秀なセールスマンが経験的に知っていたセールステクニックの応用にすぎません。しかしながら、ナッジは学問であり、科学的裏付けがあり、社会全般に応用が可能です。ナッジの代表的なテクニックには以下のようなものがあります。
デフォルト
とって欲しい行動を初期設定値として設定しておく。
例:Amazonプライムの1ヶ月無料キャンペーン。初期設定は「無料期間終了後は有料会員として継続」になっている。
フィードバック
とって欲しくない行動が起きたら直ちに注意喚起する。
例:自動車のシートベルト。ベルトを閉めずにエンジンをかけるとランプやBEEP音で警告する。
インセンティブ
とって欲しい行動が起きたら報酬を与える。
例:スマートフォンのゲームアプリ。毎日ゲームを起動するだけで1日1回ログイン報酬がもらえる。
選択肢の構造化
複雑な選択肢をわかりやすく整理する、またはあえて少数に絞る。
例:レストランのメニュー。「当店おすすめ」などの表示で実質的に選択肢を減らしている。
ゴールの可視化
とって欲しい行動のゴールと、ゴールまでの距離を可視化する。
例:スタンプカード。特典入手に必要なスタンプの数が明確である。