ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

申告分離課税と源泉分離課税

所得の課税方法は「総合課税」と「分離課税」の2つに大きく分けられます。分離課税はさらに2種類あり、「申告分離課税」と「源泉分離課税」に分けられます。
どちらも、総合課税の対象となる所得と切り離して税金を考える点では同じです。

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課税方法
 1総合課税
 2分離課税
   ①申告分離課税
   ②源泉分離課税
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1総合課税
○利子所得
○配当所得
○不動産所得
土地や建物など不動産の賃貸で得た所得のことをいいます。土地や建物だけでなく、船舶や航空機の賃貸による収入も、不動産所得に含まれます。不動産所得は全て総合課税となります。
○事業所得
○給与所得
○譲渡所得
土地や建物・株式などを譲り受けて得た所得のことです。山林の譲渡は譲渡所得にならず、山林所得という別の区分になります。
土地・建物・株式以外の譲渡(ゴルフ会員権や骨とう品など)は総合課税になりますが、衣類や家具など生活必需品の譲渡は原則として非課税になります。
○一時所得
一時的な所得のうち、労働の対価や資産の譲渡ではないもの、営利目的でない行為から得られた所得です。
例えば、競輪や競馬を当てた時の払戻金、生命保険や損害保険の一時金や満期返還金、落とし物を拾った時に落とし主からもらった報労金などが該当します。
一部の例外を除き、一時所得は総合課税です。一時所得は他の所得と違い、所得の全額ではなく2分の1のみを総所得に加えるという特徴があります。
○雑所得
所得税法で定められている所得のうち、どの所得にも属さない所得のことです。

<条件次第で総合課税にならない所得>
○利子所得
最も身近な利子所得である預貯金の利子を始め、公社債の利子・公社債投資信託の収益など、ほとんどの利子所得は分離課税
○配当所得
配当所得は原則として総合課税ですが、上場株式の配当のみ、総合課税と申告分離課税から選ぶことができます
また、上場株式の場合、配当の金額によらず確定申告不要制度を利用することができます。
総合課税を選択した場合は、配当控除を受けることができますが、申告分離課税を選んだ場合は、株などの売却損失との通算ができます。申告分離課税を選択した場合は、その後、その所得を総合課税に変更することはできません。総合課税を選択した場合も同様になります。
○譲渡所得
土地や建物、株式の譲渡は申告分離課税となっています。
○一時所得
懸賞金付預貯金の懸賞金・一時払養老保険の差益など、一部の所得は源泉分離課税

2分離課税
①申告分離課税は、確定申告により納税者本人がその税額を納める。
②源泉分離課税は、所得を支払う者が源泉徴収をし、その源泉所得税の納付だけで納税が完結するというものです。
源泉分離課税の対象
例)預金の利子、公社債の利息
源泉徴収されるときの税率 20.315%
20%(国税が15%・地方税が5%)+復興特別所得税(所得税額X2.1%)

■その他ポイント
○非上場株式の売却益
非上場株式を譲渡すると、所得税法上は一般株式等に係る譲渡所得として、申告分離課税される。

非上場株式の課税関係は、譲渡する相手と取得する相手によって異なる。ここでは、譲渡パターンとして時価相当額と低額譲渡について説明する。

非上場株式の個人から個人へ譲渡
①父から子へ非上場株式(時価200万円、取得原価100万円)を時価相当額の200万円で譲渡した場合の課税関係

・父の課税関係
非上場株式の個人への譲渡であり、一般株式等に係る譲渡所得等に該当する。譲渡益は以下のように算出される。
譲渡対価200万円-取得費100万円=譲渡益100万円
したがって、譲渡益100万円に所得税と住民税が課税される。

・子の課税関係
子は非上場株式を時価相当の200万円を取得したのみであるため、課税関係は生じない。なお、非上場株式の取得費が200万円となる。

②父から子へ非上場株式(時価200万円、取得原価100万円)を時価よりも低い50万円で譲渡した場合の課税関係

・父の課税関係
非上場株式の時価200万円を対価50万円で譲渡した場合には、一般株式等に係る譲渡所得等に該当する。下記の計算のように、譲渡損として赤字になる。
譲渡対価50万円-取得費100万円=譲渡損50万円
一般株式等における譲渡所得などの赤字額は、他の一般株式等における譲渡所得の黒字額から控除できる。しかし、それでも控除しきれずに残った赤字額は、他の所得から控除することはできない。

・子の課税関係
時価200万円と対価50万円の差額150万円に対して、みなし贈与税が課税される。なお、その取得費は50万円となる。
贈与税は、基礎控除額の110万円であるため、これを利用して節税も可能

 

○外貨預金の売却益
外貨預金の元金の売却益は雑所得 (総合課税)だけれど、為替予約をしていたら、源泉分離課税。累進課税を避けるためには、為替予約をすべし。

外貨預金の利息は、円の預金と同じく源泉分離課税
所得税15.315% (復興特別所得税込) 、住民税5%

 

○金地金の売却益
総合課税>譲渡所得
譲渡益を合わせた金額が50万円を超えた分が課税対象
保有期間によって課税対象となる譲渡所得の算出方法は異なります

●購入後、5年以内で売却した場合(保有期間が5年以内)= 短期譲渡所得
(地金の売却益+その他の該当する譲渡益)- 50万円
●購入後、5年超で売却した場合(保有期間が5年超)=長期譲渡所得
(地金の売却益+その他の該当する譲渡益)- 50万円}×1/2
※地金の売却益=売却価格 -(取得価格+売却費用)

【保有期間が短期と長期の2種に分かれる場合】
最初に短期譲渡所得から控除額を差し引き、次に、控除額が残っている場合は長期譲渡所得から差し引きします。