ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

CVC

コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)とは投資会社ではない大企業(以下、「大企業」)が社外のベンチャー企業に対して投資を行う活動のことである。CVCには様々な形態があるが、大企業が資金を拠出してCVCファンドを組成して、自社の投資部門や投資子会社が運用を行う形態が基本である。
 わが国においては2000年代のベンチャー・ブーム時に大手電機メーカーを中心としてCVCの設立が相次いだが、投資先として魅力のあるベンチャー企業が少なかったことや、投資する側のノウハウ不足等が原因で撤退や縮小が相次いだ。しかしながら、2011年頃からIT系の企業や通信・放送系の企業を中心として再びCVCの設立が増えている。
 CVC設立には、大きく分けて「財務的リターン」の獲得と「戦略的リターン」の獲得の2つの目的がある。前者は投資先のベンチャー企業が株式上場(IPO)したり他社に買収されたりすることによる金銭的なリターンを獲得することであり、CVCに限らずベンチャーキャピタル全般に共通した目的である。一方、後者はベンチャー企業への投資を通じて、事業シナジーの実現によって大企業自身の戦略を達成するという目的のことである。具体的には先端技術や市場に関する情報の獲得、補完財の育成による自社製品の需要喚起、製品のクロスセルの実施等が挙げられる。財務的リターンと戦略的リターンを両立できるような投資先ベンチャー企業が多数あればよいが、現実的には両者を同時に満たすような投資先は少ない。過去の調査などではどちらかというと戦略的リターンを重視するCVCの方が多いが、それぞれの目的にどの程度の重きを置くかはCVCごとの判断となる。