ごろにゃ~の手帳(備忘録)

備忘録的ブログ。経営やマネジメント、IT、資産運用、健康管理などについて書き留めてます。

市場細分化

マーケティングとは、顧客に対する価値を創造し、コミュニケートし、それを届けるための一連のプロセスであり、さらに、組織およびその利害関係者の両者が利益を得るという視点で顧客との関係性をマネジメントするための、組織の機能および一連のプロセスでもある。

企業には、経営理念があり、それを実現するための経営目標があります。経営目標を設定する際に活動領域を設定せねばなりません。それが事業ドメインです。

事業ドメインの部分では、「誰に」、「何を」、「どのように」という側面から、設定を行います。

さらに、全体戦略として俯瞰して落とし込み、事業別、その後に機能別という手順で戦略を立案します。

事業部別戦略とは、ある製品・サービスを事業として、どのように組み立てていくかを考える部分です。

そのために各部署がどのように関わり、機能するかを考えるのが、機能別戦略となります。

■セグメンテーション(市場細分化)

同じモノでも違った方向から見ると、別の形に見えたりします。マーケティングでは、市場を様々な角度から見るために、まずセグメンテーション(市場細分化)というステップをふみます。
市場を細分化すると言っても、細かく分ければよいというわけではなく、次の条件を満たしていることが重要です。

1)測定可能性 規模や境界が容易に測定できること
2)到達可能性 顧客にメディアやチャネルなどを通じて容易にアプローチできること
3)維持可能性 市場規模が十分な利益が見込めるくらい大きいこと
4)実行可能性 企業がマーケティング活動を行った際、独自のレスポンスが示されること


具体的に市場をどのように見るのか


1)地理的・・・都市別、人口密度、気候、山間地域・臨海地域
2)人口統計・・・性別、年齢、未既婚、世帯規模、年収、家族ライフサイクル
3)行動的・・・ユーザーの状態(使用頻度など)、ベネフィット、ロイヤルティ、購買検討段階
4)心理的・・・ライフスタイル、パーソナリティ

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市場とニッチ
売り手が市場細分化の基準により多くの特性を導入していくと、セグメントの域を超えニッチの域になる。市場セグメントとは、市場を大まかに分けたものであるのに対し、ニッチはより小規模で特定化されたセグメントをさす。

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市場セグメントの評価

セグメントの評価では、企業は3つの要因について考えねばならない。

1. セグメントの規模と成長性

セグメントが当社にとって適切な規模かどうか、成長性は十分に魅力的かという評価基準。

2. セグメントの構造的魅力度

市場やセグメントの長期的魅力度を決定する5つの要因、つまり同業の競争相手、潜在参入企業、代替製品、買い手、供給業者のことであり、これらが引き起こす脅威の強さについて考慮しなければならない。

3. 会社の目標と資源

1、2の要因をクリアできても、当社の長期目標に合っているか、そのセグメントで十分な成果をあげるのに必要なスキルや資源があるか、についても考慮しなければならない。




■ターゲッティング(標的市場の設定)
市場が見えたところで、ターゲッティング(標的市場の設定)を行います。
その場合、次の5タイプを挙げられることが多く、これらの特性を踏まえ、市場のどの部分にターゲットを設定するかを考察します。

1. 単一セグメント集中化 集中化することによりそのセグメントで強固な市場地位を得る。

2. 選択的特定化 シナジー効果は期待できないが、リスク分散というメリットはある。

3. 製品特定化 特定製品分野で名声を得る戦略。

4. 市場特定化 その市場においてあらゆる要求に応えようとする戦略。特定の顧客に強い名声を得、強固なパイプをつくることができる。

5. 全市場カバー 大企業のみが可能なパターン。この場合、無差別マーケティングと差別化マーケティングの2つの方法をとることができる。

「無差別マーケティング」市場全体をひとつの統一体として扱って、単一の製品とマーケティング・ミックスだけを用意して各セグメントの中央に位置させ、あとは、近くのセグメントからなるべく多くの顧客を引きつけようとする戦略のこと。

「差別化マーケティング」複数のセグメントに対し、それぞれに適した製品とマーケティング計画を用意して進出し、事業を行う戦略のこと。


■ポジショニング(差別化と製品ライフサイクルの両側面)

差別化
差別化とは、自社の提供物を競合他社の提供物と識別するために、一連の意味ある違いをデザインすることです。コトラーは、意味ある差別化の要件をあげております。

1)重要性…十分な数の買い手に高く評価されること
2)優越性…代替とされるものより優れていること
3)先駆性…模倣されにくいこと
4)許容性…買い手が無理せず支払えること
5)収益性…その差異の導入で収益が増すこと

差別化のすすめ方としては、主に次の側面から考えることになります。

1)製品による差別化
2)サービスによる差別化
3)スタッフによる差別化
4)チャネルによる差別化
5)イメージによる差別化



■製品ライフサイクル(PLC:プロダクト・ライフ・サイクル)
製品ライフサイクルという考え方によって、ポジショニングを考えることも重要です。


導入期 :
製品の認知度が低く、需要量も低い段階。そのため利益は出ないが、市場開拓のためのマーコム戦略のもと、製品の認知を上げることが課題となる。特に製品コンセプト、基本的機能、使い方などをコミュニケーションし、ターゲットがその製品を使用するイメージを持てるようにすることが必要。


成長期 :
需要が喚起され、売上高、利益共に急上昇するが、市場参入業者も増える。市場におけるシェアの拡大・確立が課題となるため、ブランドイメージを浸透させるためのコミュニケーションが必要。また、新機能やライン拡大が頻繁に行われるため、ターゲットへ告知するとともに、具体的な利便性をコミュニケーションする。


成熟期 :
マーケットシェア、競争相手がある程度安定し、売上高が逓減を見せ始める。製品間で機能の差がほとんど見られなくなる中でのパイの奪い合いとなるため、市場におけるポジショニングやシェアの防衛が課題となる。企業またはブランドに対する選好イメージを強化し、ブランド・ロイヤリティを高めるためのコミュニケーションが必要。


衰退期 :
売上高、利益、競争相手ともに衰退が表れる。経営的には撤退のタイミングの検討を行うことが必要となる。シェア獲得を目指した説得的なコミュニケーションではなく、保守的顧客に対するメンテナンスや社会的責任を果たすための最小限のコミュニケーションとなる。

製品ライフサイクル理論は、マーケティング戦略立案における基礎理論であり、ガイドラインとしてとても有用である。しかし世の中にはこのサイクルに一致しない製品(超ロングセラー商品など)も多く存在する。ライフサイクルを変える視野を持ちながら戦略立案することが必要である。



コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

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